笑顔がつながる時間
浦島太郎に助けられたカメが、生まれ変わったその先は…?
むかしむかし。
浜辺で大きなカメが子どもたちにつかまっていました。珍しがって、次々に甲羅の上に乗ろうとする子どもたち。「重い!痛い!」カメが逃げようと必死でもがいていた、そのとき。
「こら、やめないか!」現れた若者が大声を上げました。
「あー!浦島さんちの太郎兄ちゃんだ!」「逃げろー!」
助けてもらったカメは「お礼に、ぜひお連れしたい場所が」と、浦島太郎を背中に乗せるや、海中にぐんぐん潜っていきます。
「あれが竜宮城ですよ。ほら、乙姫様がお出迎えです。鯛やヒラメの舞い踊りに山ほどのご馳走をどうぞ!」
竜宮城で太郎に楽しい時間を満喫してもらった後、カメは元の浜辺へと彼を送り届けます。
「お元気で」カメはそこで太郎と別れ、海へと戻っていきました。
それから長い月日が過ぎ――生涯で最後の瞬間にカメは思いました。「来世は何に生まれ変わるのかな?もう少し身軽に動ける生き物がいいな…」
ふと気付けば、「あれ?僕、空を飛んでる!?」
カメは美しい羽根を持つ鳥に生まれ変わったのでした。
かつて自分が過ごしていた海を、今度は空から眺めることができるなんて幸せだなあ。
そんな風に気分よくくらしていたある日、犬とサルを連れて歩く若武者から声をかけられました。
「おーい、キジ君!きび団子あげるから鬼退治を手伝ってくれない?」
キジに生まれ変わっていたかつてのカメは、桃太郎のお供に加わって鬼ヶ島の戦いで見事に活躍。人々に喜ばれたのです。
それからまた長い月日が過ぎ――「今度は何に生まれ変わるだろうな?また誰かの役に立てればいいな…」――
と、気が付くとキジは、とある漁村にくらす漁師の若者になっていました。
「やあ今度は人間に生まれ変わってるぞ。さあ、出かけるか」浜辺に行くと、そこには子どもたちにいじめられている大きなカメの姿が。
「こら、やめないか!」思わず叫んで、気づきました。ああ、そうか。今度は僕が、カメを助ける浦島太郎になったんだ。
お礼に竜宮城へ、と誘ってくれるカメに太郎はこう言いました。
「せっかくだけど遠慮しとくよ。海の中と空の世界のことはもうよく知ってるし、今回は人間の世界でもっと多くの人の力になりたいからね」
生まれ変わっても、役に立つ――
貴重な資源を有効活用するための
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