気兼ねなくお出かけする時間
勉強にバイトに遊びにと大学生活を謳歌している私。でも、冬は困ることも…。
大学生になり、実家を離れて一人暮らしを始めると、私の世界はぐんと広がりました。
キャンパスへ通い、気の合う仲間と授業を受けて、サークル活動に参加して。
週に何度かは家庭教師のバイトにも行っています。
さらに、近所のスーパーでおつとめ品の食材を買って料理に挑戦し、休日は親友とバスに乗って、郊外のショッピングモールまで足をのばすことも。
大学生活って、いろんなことが自由にできて楽しい!
だけどね――
「いらっしゃいませ」
ある冬の日、私は大学の授業が終わると、丘の上にあるカフェに歩いて出かけました。
カフェに入るとコーヒーを頼み、分厚い教科書をバタンと開いて勉強モード。
このカフェは明るくて、マスターも気をつかってくれるから、勉強に集中できるんです。
「雪が降ってきましたね」
私が時間を忘れてレポートを書いていると、マスターがとつぜん声をかけてきました。
窓の外を見ると、粉雪がしんしんと白いまっすぐな線を描きながら降り注いでいます。
「どうしよう!?」
私は途方に暮れました。
歩いて家に帰るにしても、雪が積もった坂道は滑るし、バスで帰るにしても、車内は乗客でごった返して人に揉まれて大変です。
「こんなとき、タクシーを呼べたらなあ」
実家からの仕送りとバイト代を合わせてやりくりしている私には、タクシーなんて高嶺の花。
そんなことを考えながら帰り支度を始めると、マスターが教えてくれました。
「MaaS(マース)という移動サービスを知っていますか?MaaSを使えば、タクシーに相乗りできて、料金も安く済みますよ」
カフェから出ると、外は凍てつくような寒さ。その分、MaaSのあたたかさが身にしみました。
タクシーの暖房はもちろん、相乗りしてきた大学生と「雪が降るなんて聞いてないですよね」なんておしゃべりができて、とつぜんの雪で困ったのは私だけじゃなかったんだと、仲間がいたことにもホッとしました。
MaaSって便利だな。
今度帰省したら、うちのおじいちゃんとおばあちゃんに教えてあげよう。
「車を手放したら、病院に行くのが大変になった」と言っていたから。
車を持たない人が、
気軽に移動できる社会へ。
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